· 

「心?」ヨハネ7:38


 38節に「心の奥底」という言葉があります。「心」がどこにあるかは自明ではありませんが、私たちはおそらく「頭」とか、「心臓」のあたりをイメージするのではないかと思います。

 ここで「心」と訳されるギリシャ語は、“κοιλίας(コイリアス/キリアス)という言葉です。これは直訳すると「腹」です。この時代の人々は、「腹」を人間の中心、人間の最も奥深い部分と考えていました。つまり「腹から」というのは、「人間の中心」から、意訳すると「心の奥底」からとなります。

 これに近い感覚の言葉として、“σπλαγχνίζομαι(スプラグニゾマイ/スプラグニゾメイ)というギリシャ語があります。マタイの20:34などで「(イエスは)深くあわれんで」と訳されます。これは、直訳するなら「はらわたを突き動かされて」です。イエスの「あわれみ」は、イエスの存在の中心、奥深いところから来る切実な思いなのです。