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「人の子」ヨハネ9:35


 ここでイエスは、ご自身を指して「人の子」という言葉を使います。

 旧約聖書において「人の子」は、単純に「人/人間」を指す言葉として使用されています。例えば、詩篇84節では、「人」と「人の子」が並行的に使われ、同じ意味を指す言葉として使われています。

 この言葉が黙示文学においては、メシヤ的存在を指す言葉として使われるようになりました。例えば、ダニエル書713-14節では、「人の子」は、主権と栄誉を受ける、天的/神的存在として描かれています。

 新約聖書においては、この言葉は、(一部例外をのぞいて:使徒7:

56等)イエスのみが、ご自身を指す言葉として使っています。恐らく、当時の人々が思い描く「メシヤ(キリスト)像」と、イエスの使命としての「メシヤ(キリスト)像」に相違があるため、ご自身を「メシヤ/キリスト」と明言することを避けて、「人の子」と言われたのだと思われます。